本好きの下剋上 感想 完結後の展開予想

最近なろう系の小説をよく読んでいる。
その中で「本好きの下剋上」があるが600話以上あり長そうで敬遠していたが、漫画版試し読みの「ルッツのマイン」を読んだところで気になってweb小説を読みだした。
本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~」https://ncode.syosetu.com/n4830bu/

何が気になったかというとルッツはマインと懇意にしていたが虚弱で外の世界との関わりのないマインが知るはずのない知識を知ってることで何者かが「マイン」を乗っ取ったと糾弾する緊迫した場面だがそれはルッツがそれだけマインのことを見ていた、想っていたからこそだったのだ。私はお互い分かり合えたことに安堵しこれだけ大事にされているマインの物語の続きが気になり全てを読んだ。
マインは体は虚弱だが見た目が良くて前世現代文明の記憶を持ち、魔力の多さは国でも一二を争うぐらい増大ないわゆる「なろう系」チートなのだが、彼女の魅力は何と言っても愛情溢れる人柄だ。
勿論、体が虚弱で自分では何もできないから打算で人当たりを良くしないと生きていけない面もあるが、マインに限らず人はそもそも助け合って生きていかなければならないから何も悪いことではない。
マインが転生した世界は中世に似た世界でしかも貧しい平民の家庭だから生きていくだけで精一杯であり、体が虚弱で何の役に立たず奇妙な前世の話をして気味の悪い魔力を纏ったマインなど捨てられてもおかしくはない。
しかし、彼女の家庭は捨てることはなく、多少、変であっても元気であれば嬉しいと思ってくれている。
マインは前世で何不自由なかったため、愛情をかけて育ててくれたことに気づいたのは無償の愛をくれた下町の家族のおかげだ。
元々は愛情深かったであろう彼女は下町の家族によって気づき愛情を表せれるようになった。
前世のマインは本以外は無関心であり、恋愛経験もなく家族以外とは希薄な人間関係であったので現世での幅広い人間関係の構築は彼女の成長を表している。
マインは転生した当初はすぐに本が読める貴族に生まれたかったと言ったが、彼女の源泉は下町の家族への愛情であり、家族に迷惑をかけないため貴族になるよう努力をした結果、「下剋上」を果たし、一人では何にもできない彼女は多くの人達の助けによって望みを叶えられようになった。最初から貴族で生まれたら、素質があるからそこまで努力して能力は伸ばそうとしないだろうし、人は助ける仕えるが当たり前で深い人間関係構築はできなかっただろう。マインは平民の子として生まれたから家族のために努力をすることで自分を高め、深い愛情があったから多くの人々が助けてくれて生きてこれた。

□フェルディナンドとマイン出会いの奇跡

フェルディナンドは領主候補生でマインは平民と本来であれば二人は出会うはずがなかった。
しかし、フェルディナンドは領主候補生がいるはずのない神殿にいて、前世の平等思想からか元々権威主義でないのか物怖じしないマインは出会った。
フェルディナンドも最初から貴族として育てられてないからか周囲を警戒しながら生きていかないといけないからか周りとの関わりは深くないせいか貴族らしくないのでマインが平民だからといって見下す権威主義なことはせず、公平に接した。
元々二人は能力主義、努力主義、合理主義、権威主義でない、寝食忘れるぐらい夢中になるものがある等似た者同士であり、中世身分社会ではあり得ない、いくつのも偶然が重なりあい、通じあった。

マインはフェルディナンドにとって唯一の人だ。
マインにとってのフェルディナンドは家族同然で魔力も同等だから、子どもも作れ、権力もあるから最適ではあるけど唯一な存在ではない。
ルッツは魔力や権力がなく、結婚相手に釣り合わないという現実を突き付けられて私自身のやっかみもある。

□マインの克服

現在「本好きの下剋上」はハンネローネの貴族院五年生が最新作で外伝ではあるがローゼマインも出てきて、本作完結その後が描かれている。

「ハンネローレの貴族院五年生」https://ncode.syosetu.com/n4750dy/

フェルディナンドの危機にローゼマインが寿命を縮めるかもしれない展開に折角、ハッピーエンドに終わったのにローゼマインに苦難を味わわせるのかと思った。フェルディナンドの過去が厳しいものだったため、それを補完する話とも思ったが、フェルディナンドとローゼマインの関係が気になった。
ローゼマインのフェルディナンドへの好意を容認できない様はラブコメ的視点から見ると楽しいのだが、実は自分に自信がないから自分の好意を受け入れられないのではないかと心配している。
ローゼマインは美貌で魔力も絶大ではあるがそれを鼻にかけるような事はなく、どこか他人事でむしろ、自分は中身が残念だと思っている。
それは前世である麗乃だった頃の影響だ。麗乃時代は家族以外とのコミュニケーションが希薄で恋人もいなかった。
だがマインは変わった。多くの人と関わり、成長している。しかし、本当の自分を知られると嫌われて離れてしまうかもしれないという不安から素直に好意を表すことができない。
マインはいくら家族同然とはいえ自分のためにここまでしてくれるフェルディナンドに戸惑っている。家族でもここまでしないと。
続編は過去へ戻る。本来であればマイン、フェルディナンド二人の関係はじっくり育めば良かったのだが、それを許さない情勢で駆け足になってしまったので、時を駆ける編は補完する役割になるだろう。
年齢が近い、もしくは自分よりも下なフェルディナンドと接するため保護者だからよくしてくれたという言い訳はきかない。現代のフェルディナンドも外面をなくしたら、家族の愛情に飢える少年の心を持っているので、本音で真正面にぶつかり合い、2人は愛を素直に受けいれるようになり、自分を克服して欲しい。

マインが呼ばれて転生したのは英知の女神メスティオノーラが愛するエアヴェルミーンを助けるためだと思う。
だから、メスティオノーラと見た目が一緒で本好きで前世でも無意識で祈っていたのもあるだろう。
短期的に見ればマインによって、 国全体の祈りが増えて、神様の力が維持されるが、長期的に見ると前世の知識によって技術革新が起き、魔力が必要なくなって神への信仰がなくなり、神は廃れていくと考える。

人間界では王を凌ぐ立場を得て、平和が訪れたと思ったが、未だ神々に振り回され、命を奪われる危険もあるので、マインを守るためには世界のパワーバランスの組み直しが必要である。

魔力を高めて、神と同等、もしくは上位の存在になるか、技術革新を果たして、神に対抗する力を手に入れるか。例え神を敵に回しても、2人は幸せに過ごして欲しい。